王切開子宮瘢痕症(CSDi)

外来

王切開後の
不正出血・月経痛・不妊

でお悩みの方へ

帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)は、帝王切開後の子宮の瘢痕(きずあと)が原因となり、不正出血や月経痛、不妊などの症状を引き起こすことがある疾患です。

当科では、帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)の病態解明・治療・予防に取り組み、専門外来で相談・精査・治療を行っています。

帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)とは

帝王切開は一般的に子宮峡部(子宮体部と子宮頸部の間)を横に切開して赤ちゃんを娩出しますが、帝王切開後にこの部位にへこみ(図・青矢印)ができることがあります。

このへこみは子宮峡部創陥凹(しきゅうきょうぶそうかんおう)と呼ばれ、さまざまな症状を引き起こすことがあります。

  • 妊娠したいのになかなか妊娠できない
  • 月経終了後も出血や茶色いおりものが続く
  • 月経痛が以前より強くなった

帝王切開後にこのような症状がある場合は、帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)の可能性があります。

以前は「帝王切開瘢痕症候群」と呼ばれていましたが、2023年に国際的にCesarean scar disorder(CSDi)という名称が採用され、日本でも「帝王切開子宮瘢痕症」として認知されるようになっています。

図・青矢印

帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)

の治療

帝王切開子宮瘢痕症で最も多い症状は、月経終了後に続く茶色のおりものです。

数日で終わる方もいれば、数週間続く方もいます。また、進行すると月経時の下腹部痛が強くなったり、月経時以外にも骨盤痛が現れたりすることがあり、生活の質(QOL)の低下につながります。

これらの症状の多くはホルモン剤による治療で改善が期待できますが、ホルモン療法を避けたい方や症状が強い方には、手術療法も選択肢となります。

帝王切開子宮瘢痕症は、不妊症の原因の一つと考えられています。

手術によって妊孕能(にんようのう:妊娠する力)の改善が期待できます。

帝王切開子宮瘢痕症に対する手術は「子宮瘢痕部修復術」と呼ばれ、開腹手術、子宮鏡手術、腹腔鏡手術、経腟手術などさまざまな術式が報告されています。

当院では主に、

  • 子宮鏡手術(図1)
  • 腹腔鏡手術(図2)

を行っています。

子宮鏡手術では、へこみを一部削り、子宮峡部全体を焼灼します。

腹腔鏡手術では、へこみをくり抜き、縫合して修復します。

図1:当院における子宮鏡下修復術の実際(許可を得て掲載)

図2:当院における腹腔鏡下修復術の実際(許可を得て掲載)

図3:当院における続発性不妊症に対する治療方針

帝王切開子宮瘢痕症で手術が必要な患者さんは、子宮内膜症(妊孕能低下の原因の一つ)を合併している割合が高いことが、当院の研究から明らかになっています。

骨盤内の子宮内膜症は子宮鏡だけでは診断・治療できません。
そのため当院では、子宮鏡による子宮瘢痕部修復術を行う際に腹腔鏡を併用し、子宮内膜症がある場合は同時に治療を行っています。

また、腹腔鏡手術では、へこみの範囲を確認するために子宮鏡を併用します。
つまり、当院では子宮鏡と腹腔鏡の2つの内視鏡を組み合わせて手術を行っています。

治療実績

2022年2月までに、挙児希望のある70人に本手術を実施し、49人(70%)が妊娠に至っています。

術前に生殖補助医療(ART)を受けた方、受けていない方のいずれも妊娠に至っています(図4)。

より重症例を対象とする腹腔鏡下子宮瘢痕部修復術では症例数は少ないものの、術後約6割の方が妊娠されています。

図4:挙児希望を主訴とする帝王切開子宮瘢痕症に対する当院における子宮鏡手術の成績
(Tsuji et al. J Minim Invasive Gynecol. 2023より引用し改編)

帝王切開子宮瘢痕症(CSDi)

専門外来について

当院では2014年から帝王切開子宮瘢痕症の病態解明と治療に取り組み、2019年には日本初となる帝王切開子宮瘢痕症専門外来を開設しました。

近年は予防法に関する研究にも取り組んでいます。
専門外来では、帝王切開子宮瘢痕症に関する相談、精査、治療を行っています。

手術件数は子宮鏡手術と腹腔鏡手術を合わせて年間30~40件で、これまでに200例以上の手術経験があります。

当院を受診される患者さんの半数以上は県外から来院されています。
関西圏以外など遠方から受診される方にも対応しています(図5)。

帝王切開子宮瘢痕症に精通した医師が専門外来で診療いたしますので、お気軽にご相談ください。

図5: 当院で子宮瘢痕部修復術を受けられた方の居住地